


自分で確定申告をする方にとって『減価償却費の計算』って、かなり厄介な部類に入りますよね?
耐用年数?償却方法?償却率?
何を書けばいいの?
今回はそんな厄介な減価償却費の計算方法や書き方について、解説していきます。
Contents
確定申告で減価償却するべきものは?
確定申告で減価償却の対象になるものを簡単に言うと、『10万円以上』で買った固定資産です。
10万円以上の資産なら『有形』『無形(ソフトウェア等)』は問いません。
減価償却すべき資産は、以下の用に分類されます。
減価償却資産の種類
①構築物
②機械及び装置
③船舶
④航空機
⑤車両及び運搬具
⑥工具・器具及び備品
あんまりピンと来ませんよね?
私が確定申告を受け付ける際によく見る資産を例示すると、
②機械及び装置…工場の機械・土木作業用の機械など
③船舶…クルーザーなど
④航空機…飛行機など
⑤車両及び運搬具…乗用車・トラックなど
⑥工具・器具及び備品…パソコン・プリンタ・カメラなど
これらの固定資産のうち、取得価格が10万円以上のものが、確定申告で減価償却する資産になります。
10万円以上なのに、確定申告で減価償却せずに単年度で費用化した場合、税務調査で突っ込まれますので、気を付けましょう。
確定申告書類の『減価償却費の計算』欄の書き方
確定申告での減価償却費の書き方は、実は白色申告でも青色申告でも同じなんです。
↑青色申告の場合(青色申告決算書)
↑白色申告の場合(収支内訳書)
この赤枠で囲った部分で減価償却費の計算をしていくのですが、書き方について、これから説明していきますね。
減価償却資産の名称等 | 資産の名称を記入。 例)パソコン、カメラ、乗用車、事務所内装 など |
面積または数量 | 取得した数量を記載。パソコン1台なら1台、建物等は面積を記入します。 |
取得年月 | 取得した年、月を記入。償却額がここで変わるので、かなり大事です。 |
取得価額(イ) | 購入した時の費用を記入します。(手数料なども含んだ金額) |
償却の基礎になる金額(ロ) | 基本は『取得価額(イ)』と同じ金額を記入します。(平成19年4月1日より後に購入したものの場合) |
償却方法 | 減価償却の方法には『定額法』と『定率法』がります。個人事業の場合、基本は『定額法』となります。 定率法を使用するには事前申請が必要なので、申請を出していない場合には『定額』と記入します。 |
耐用年数 | その資産の耐用年数を記入します。詳しくは下記をご覧ください。 資産の種類ごとの耐用年数表(国税庁HPより) |
償却率(ハ) | 償却率を記入します。定額法の場合、耐用年数が2年なら償却率は0.5、3年なら0.334、、、となります。 |
本年中の 償却期間(ニ) | 本年の償却期間を記入します。8月に購入した場合、8月~12月の5ヶ月間がその年の償却期間なので『5』と記入します。 前年以前から引き続き償却し続けているものの欄は『12』と書いてください。 |
本年分の 普通償却費(ホ) | 償却の基礎になる金額(ロ)× 償却率(ハ)× 本年中の償却期間(ニ)の計算結果を記入します。 18万円のノートPCを8月に購入した場合、耐用年数は4年(償却率は0.25)となり、180,000 × 0.25 ÷ 12 × 5 = 18,750円 |
特別償却費(ヘ) | ほとんどの人は関係ないです。青色申告者が対象の設備を購入した場合、特別償却費として割増し分の償却費を記入します。 対象となる設備は、1台160万円以上の機械装置、1台120万円以上のデジタル複合機など 、、、 |
本年分の 償却費合計(ト) | 普通償却費(ホ)と同じ金額を記入します。特別償却費があれば、普通償却費(ホ)と特別償却費(ヘ)の合計を記入します。 |
事業専有割合(チ) | 対象の資産を家庭用でも使っている場合は、事業に使用する割合を記入します。 私的な使用せず、完全に仕事のための資産であれば『100』と記入します。 |
本年分の 必要経費算入額(リ) | 本年分の償却費合計(ト)× 事業専有割合(チ)の計算結果を記入します。 100%仕事のための資産であれば、ここは償却費合計(ト)と同じ金額を記入すれば大丈夫です。 |
未償却残高(ヌ) | 『償却の基礎になる金額』から『本年の償却費も含めて、今まで償却した金額』を差し引いた金額を記入します。 この金額は、来年以降に償却できる、減価償却費の残高です。 |
摘要 | 特筆すべき事項があれば、記入します。 |
上記の項目を1か所ずつ埋めていけば、減価償却費の計算は簡単に終わります。
最初は耐用年数や償却率で戸惑うこともありますが、何度も確定申告をすることで、段々書き方が身に付きますよ。
減価償却の特例を使って、お得に確定申告
減価償却で費用化していく資産は、毎年一定額ずつしか費用化できません。
しかし、特別な制度を使うことによって、確定申告時に、減価償却のルールから抜け出して費用に計上することが可能になります。
これからその2つの制度について、説明していきますね。
一括償却資産の損金算入制度の適用
一括償却資産とは、20万円未満の固定資産のことで、通常の法定耐用年数で減価償却しません。
3年間、取得価額を3等分した額を減価償却費として経費に算入します。
ただし、翌期以降に売却・廃棄処分等をしても、残額分を一気に減価償却はできず、3年間に渡って経費としなければいけません。
たとえば、15万円のタブレット端末1台を購入します。これを一括償却資産として処理すると、「15万円×12÷36=5万円」をその事業年度の償却費として損金とすることができます。
少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
少額減価償却資産の特例とは、中小企業(資本金の額が1億円以下などの法人)の場合に認められる特例です。
取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、全額をその年度の経費にできるようになります。
(1事業年度あたり300万円が限度です)
たとえば、先ほど述べた『15万円のタブレット端末に購入した』というケースの場合で考えてみましょう。
仮に1台ではなく10台購入すると150万円ですが、少額減価償却資産として処理すると、この150万円全額を取得した事業年度の減価償却費として計上することが出来ます。(令和2年3月31日まで)
※この少額減価償却資産の特例は、令和4年3月31日までの取得まで、期限が延長される方向で進んでいます。
確定申告で面倒な「減価償却費の計算」の書き方を解説! まとめ
今回は、確定申告で必須の「減価償却費の計算」の書き方について解説しました。
減価償却費は項目が多く面倒になる方も多いですが、書き方を覚えてしまえば簡単に作成することができます。
また、クラウド会計ソフトを活用すれば、決算書の作成から確定申告書の提出までをスムーズに行えますよ。
下記の記事で、おすすめの会計ソフトを3つ紹介していますので、是非来年の確定申告から活用してみてください。
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それではまた('ω')ノ